詭弁の分析・分類 詭弁の心理学
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詭弁の心理学
わたしは私立の学校に勤めているが、会議などでも教材の検討でも、どうしても論理的な議論が成立しない。声の大きい人が自らの利権を守るためにハリボテの大義名分をふりかざす。でも、やっぱり職場で長く勤めていたり、一定の立場にいる人に睨まれるのは誰しも怖い。
そんなとき私は、相手の言うことを分析して、どうしてその人がそんな人を傷つけることを言うのかを冷静に分析するようにしている。
今日は詭弁の心理を学びがてら、自分の職場と照らし合わせてアウトプットをすることで、理解を深めていくことにする。
ここで、詭弁を覚えて人を攻撃するのが目的ではなく、どのような詭弁を用いて人を攻撃しいているかを理解することで、心のケアがしやすくなる。また、反撃しやすくなるのが目的。
「人身攻撃とは」
論理ではなく、本人の属性や特性などを攻撃するやり方
論理の不備を突くのではなく、「そもそもあいつは信用ならない」「あいつは過去に…」など、その人について攻撃する方法。これは嘘でも効果があることが分かっており、週刊誌が売れたりするのはこの理由。
<対策方法>
- 詭弁の手法を解説してしまう
はいはい、その手法は人身攻撃というテクニックで、嘘でもその人の評価を下げるやり方ですね。という風に解説することで、一気に相手の理論がチープなものになる。
ここからは人身攻撃の様々な種類を分類していく
(1)対人論証ー人間関係を攻撃するー
「彼の友人は殺人者だ」「彼の叔父は横領で」など、その人の人間関係を攻撃する。
⇒その人に関係のある人が犯罪を犯していたら、その人に関わる人みんな犯罪者ということですか。6次の隔たりという言葉があり、6人紹介を挟むとこの世界の誰とでも繋がれるのに。
(2)ポジション攻撃ー相手の持ち物とポジションを攻撃するー
所有物とか、相手の立場を攻撃する
ここでポイントなのは、論理そのものについては言及していないこと
環境保護を訴える人に対して「あなたは大型車を運転してますよね。」
動物愛護を訴える人に対して「あなたの着ている服にファーが付いてますよ。」
「皮肉なもんですね、あなたがそんなことを言うなんて」という論調
ここで繰り返しこのあとも出てくるのは最大の解決法は相手の詭弁を解説する。
あなたはこういう手法で相手を陥れようとしている。けれど、私はそうなりませんし、賢い周りの人もそういう風には思わない。みんな気付いていますよ。
(3)動機の批判
相手の行動ではなく、その行動に至るまでの「動機」を批判する方法
「ワクチンを打ちましょう!日本はワクチン後進国なんです!」
←彼はワクチンを打てと言っているけれど、彼はワクチン会社からインセンティブをもらっていたり、それをすることで何か彼にメリットがあると思う
あいつは仕事頑張っているけれど、上司に気に入られたいからでしょ。
(返し方)
そんな風にうがった見方をするなんて、かわいそうなひとですね。
(学校現場での例)
「部活のブラック化を止めましょう!文科省のガイドラインにしたがいましょう」というまっとうな意見に対しても
「あいつは最近子どもができたから、自分が休みたいだけなんだ。だから、そういうことを言っているんだ」と、攻撃する。さらに「子どもたちのために、先生が少し我慢して頑張ることが教員になる上でみなさん覚悟したことでは」と、動機のすり替えまで行おうとする。
ここでは、部活を正しく運営することを呼びかけることと、その先生のプライベートには全く関係がない。にも関わらず、その動機を批判することで、攻撃することで、このような声を小さくしていくことが狙いの詭弁である。
「ルールを守ろう!」という声に対して「教員になった以上は・・・」と返す。
無茶苦茶な暴論である。でもこれが詭弁。
相手のやり方を冷静に返しましょう。
「そうやって、私のルールを守ってという意見に対して、「子どものために」という動機にすりかえないでください。ルールを守らなければどのスポーツも勝てません。でも練習しなくても勝てません。ここで先生が言いたいのは、ルールを守った上で、でもいまやっている練習効率を達成するためにはどのようにすれば良いかということですよね」
という風に、相手の発言の動機をすり替えてあげる。同じ手法でも後出しの方が圧倒的に説得力が出る。このように相手の手法を、詭弁を分類して、解説するかやり返していくことができる。
(4)嫌悪カテゴライズ
相手の発言を、マイナスイメージにカテゴライズしてしまう手法。
「生徒たちだけの考えではどうしても限界があるし、生徒たちも苦しいから、もう少しヒントを上げたりしないと、何もしない時間が長くなってしまいます」という意見に対して
「ああ、あなたはそうやって生徒コントロール派の人なんだ。そうやって生徒をコントロールしてレールの上を歩かせたい教員なんですね」という風に、発言を嫌なカテゴリーに分類することで、その発言の評価を下げる手法。
(返し方)自分の発言を別のカテゴリーにリプレイスすることで、相手の発言を嫌悪カテゴライズしてしまう手法。例えば・・・
「私のこの考えは(有名な人)も言ってたし、それに(有名な学校)での成功している事例なんです。そうやって生徒コントロールという狙いではなく、こういった効果をねらって導入したらしいです。そして上手く行ったと。それを否定するなんて、あなたはなんて批判的で否定的な人間なんですね」
と自分の発言を良いカテゴリーに、相手の発言を悪いカテゴリーに入れてしまうことで、情勢は一気に変わっていく。
ここまでコテンパンにしなくても良いけれど、こうやって嫌悪カテゴライズしてくる先生おおいですよね。
(5)自信に対する攻撃
これは「相手に自信がありすぎること」に対しての攻撃。つまり「よくも実績のないあなたが、成功する保証もないのに、そんなに自信満々に言えますね」という攻撃。
「協同学習という手法があって、こういう風に授業をコーディネートしていくと、生徒たちにはこんな学習効果があると言われてるんです。だから、次の授業でやってみたいんですけど、どうですか?」という提案に対して
「なんでやってみたこともないのに、うまくいくと言い切れるの?あなたは実際にこの先生みたく実績がないのに、なんでそんなに自信を持ってこの打ち合わせに持ってこれたの」という攻撃。
教授方法の議論が始まろうとしていたはずなのに、その教授方法の利点や危険性、そして単元や生徒との相性などの議論ではなく「なんとなく新しいことが苦手だから」という理由で反論している。でも基本知識がないから「相手の自信」を攻撃しているケース。
(6)口封じ
これは単純に「相手の口数が多いこと」を攻撃して口封じをすること
よくそんなべらべらと意見を言えますね。でもあなたは行動してませんよね。結局何も成し遂げてませんよね。そんな人も言うことを一体誰が聞くんですかという詭弁。
議論が始まらない。人身攻撃そのもの。
(返し方)
確かに、僕にはまだ行動が伴っていなかったかもしれない。それはあなたが指摘してくれたように正しいかもしれない。しかし、あなたはどうだろう。行動もしてなければ発言もしていない。意見を持って考えながら生きていかない人に、一体何を生み出すことができるだろう。
という風に口封じ返し。
ここまで6種類の詭弁のテクニックを書いてみた。ここで再度確認したいのは、こうやって職場の先輩や上司にやり返してくださいということではない
議論が成立せずに悔しい思いを職場でしたときに「ああこの人は、この詭弁のテクニックを使ったんだな」と理解をすることで、心のケアができるし、そういう人がばからしいと思えること
悔しい思い、きっとしてる先生も多いと思います。正しいことを声を挙げても、なぜか声が届かずに、意味のわからない論理で打ち返される。
ちょっと立ち止まってみて考えてください。きっとそれ詭弁です。
分類し、カテゴライズし、冷静に「ばからしい」と思える一助になりますように。
これらのもとになった研究例を紹介
モンタナ州立大学で500人の学生を対象に論文を評価してもらった。その論文に研究者のプロフィールを付けた。その中でも論文の出来に関わらず評価に影響があった。「過去に不正を行った」「メーカーなどに賄賂をもらった」などがあったら評価を落とした。
週刊誌が売れるというのは、嘘でもその人に対しての噂を出したらその人は評価が下がる。